連想記憶のダイナミクスの解析と改良
研究概要
連想記憶機能をもつ神経回路モデルのダイナミクスについて解析し、想起の過程で何が起こっているのかについて理解を深めようという研究である。研究の結果、従来のモデルの奇妙な振舞に直観的な解釈を与え、多くの問題点の本質がそのダイナミクスにあることが明らかになった[1]。また、このことから、ダイナミクスを改良することによって記憶容量および想起能力が拡大する可能性があることがわかった。
そこで、具体的な改良法として「部分反転法」および素子の出力関数を非単調にする方法(非単調ダイナミクス)を考案した[1,3]。また、実際にこれらの方法によってモデルの連想記憶能力が大きく向上することを、計算機実験および理論的解析[2]を通じて示した。
部分反転法の概念:
想起の際、回路網の状態は目的の記憶パターンにまっすぐには向かわず、他の記憶パターンの方へ引かれてしまう。そこで、回路網の現在状態が他の記憶パターンから遠ざかるよう、ある条件を満たす一部の素子の出力を反転させる。
参考文献
- 森田昌彦,吉澤修治,中野 馨 (1990):
自己相関連想記憶の想起過程とその改良,
電子情報通信学会論文誌(D-II), J73-D-II, 232-242.
[概要 / Abstract]
- Yoshizawa, S., Morita, M., Doya, K. and Amari, S. (1991):
Analysis of dynamics of an associative neural network with
a non-monotonic output function,
Proceedings of the 1991 International Conference on Artificial
Neural Networks, Espoo, 1, 255-260.
- Morita, M. (1993):
Associative memory with nonmonotone dynamics,
Neural Networks, 6, 115-126.
[Abstract]
[Reprint]
次の研究項目へ
森田のページへ戻る