非単調神経回路網による連想記憶


研究概要

 非単調神経回路網とは、著者の提案した、下の図のような入出力特性を持つ神経素子から構成される回路網であり、従来の神経回路網にない数々の特長をもつ。特に、連想記憶の能力は非常に優れており、従来のモデルがもつ4つの主要な問題点、すなわち小さな記憶容量、低い連想能力、多数の偽記憶、情報表現上の制約のすべてが、大幅に改善される[1,3,4]。
 これらは主に数値シミュレーションによって明らかになったが、記憶容量に関しては、従来のモデルの3倍以上の容量があることが理論的な解析[2,5]によっても示されている。

図1
非単調入出力特性:
入力(正確には内部電位)u の増加に対して出力 f(u) が単調に増大するのではなく、|u| が大きいときには減少するという性質が本質的である。

参考文献

  1. Morita, M., Yoshizawa, S. and Nakano, K. (1990): Memory of correlated patterns by associative neural networks with improved dynamics, Proceedings of the 1990 International Neural Network Conference, Paris, 2, 868-871.
  2. Yoshizawa, S., Morita, M., and Amari, S. (1992): Capacity and spurious memory of associative memory using a non-monotonic neuron model, Proceedings of the 1992 International Conference on Artificial Neural Networks, Brighton, 2, 445-448.
  3. 森田昌彦,吉澤修治,中野 馨 (1992): 非単調ダイナミクスを用いた構造をもつパターンの連想記憶, 電子情報通信学会論文誌(D-II), J75-D-II, 1884-1891. [概要 / Abstract]
  4. Morita, M. (1993): Associative memory with nonmonotone dynamics, Neural Networks, 6, 115-126. [Abstract] [Reprint]
  5. Yoshizawa, S., Morita, M., and Amari, S. (1993): Capacity of associative memory using a nonmonotonic neuron model, Neural Networks, 6, 167-176. [Abstract]


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