脳の情報処理システムのモデル化
目的と概要
複雑な現実の脳神経回路を、理論的な考察に基づいてうまくモデル化することによって、脳の情報処理、特に記憶のメカニズムを明らかにしていこうという研究です。
具体的には、まず脳機能の一部を抽象化した上で、
- 理論的検討などに基づき、実現に必要な原理を検討する
- その原理に基づいて、生理学的に妥当かつできるだけ単純化した神経回路モデルを構築する
- モデルの動作を計算機シミュレーションなどによって解析する
- 解析結果を生理学や心理学の実験のデータと比較・検討する
ことを繰り返すことによって、脳の情報処理の本質を理解することを目指します。
これまで主に記憶に関するモデル化を行ってきましたが、従来説明が付かなかった現象に理論的説明を与えるなど、神経生理学者からも高い評価を受けています。
また、別の研究で得られた「軌道アトラクタ」や「選択的不感化」という原理が脳でも用いられていることを示す結果が得られつつありますが、このことは工学的にも大きな意義があります。
過去の具体的な研究内容や成果の一部は、以下の解説論文
に書かれています.それ以降のものについては下記の論文をご参照下さい。
研究項目
- 海馬のモデル
- 時系列パターンの学習機構と対連合記憶の計算論的モデル
- Morita, M. (1996b):
Computational study on the neural mechanism of sequential pattern memory,
Cognitive Brain Research, 5, 137-146.
[Abstract]
[Full text (PDF)]
- 末光厚夫,森田昌彦 (2001):
下側頭葉における対連合記憶の神経回路モデル,
電子情報通信学会論文誌(D-II),
J84-D-II, 718-727.
[概要]
[全文(PDF)]
- 末光厚夫,諸上茂光,森田昌彦 (2002):
下側頭葉ニューロンの想起活動に関する計算論的考察,
日本神経回路学会誌, 9, 174-180.
[Abstract]
[全文(PDF)]
- Suemitsu, A., Miyazawa, Y. and Morita, M. (2009):
Model of the activity of the hippocampal neurons based on the theory
of selective desensitization,
Advances in Neuro-Information Processing (Part I),
Lecture Notes in Computer Science,
5506, 383-390.
- 文脈依存的ニューロン活動のモデル化
- 末光厚夫,諸上茂光,森田昌彦 (2003):
選択的不感化原理に基づく文脈依存的ニューロン活動のモデル化,
情報科学技術レターズ, 2, 149-152.
[全文(PDF)]
- 末光厚夫,諸上茂光,森田昌彦 (2004):
下側頭葉における文脈依存的連想の計算論的モデル,
電子情報通信学会論文誌(D-II),
J87-D-II, 1665-1677.
[reprint(PDF)]
- Suemitsu, A. and Morita, M. (2006):
Neural network model of context-dependent neuronal activity
in inferotemporal cortex,
Proceedings of the 2006 International Joint Conference
on Neural Networks, Vancouver, 293-298.
[Full text (PDF)]
- その他
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