軌道アトラクタによる人間の動的パターン処理のモデル化

特定領域研究 「ITの深化の基盤を招く情報学研究」
研究項目A03人間の情報処理の理解とその応用に関する研究

研究代表者: 森田 昌彦 (筑波大学 システム情報工学研究科)


研究目的

本研究の目的は,人間の動的なパターン情報処理の基本的な過程を,軌道アトラクタネットワークと呼ばれる神経回路モデルによってモデル化すると共に,柔軟で人間的な動的パターン認識やロボットの運動制御など応用可能な情報処理モデルを構築することである. これを通じて,人間の知性の本質を理解し,人間と共生できる知的機械の実現へ応用することを目指す.

研究の背景

現在のロボットの知能は,現実の環境の中では,人間はもちろん,犬のような動物にも遠く及ばない. 記号処理に基づく古典的人工知能には,symbol grounding問題およびフレーム問題という限界があるからである. そこで,分散表現に基づく情報処理モデルとしてニューラルネットが期待されたが,分散表現の利点や多数の素子によって構成される力学系の特徴が生かされていないなど,現状ではとても期待に応えられるものではない.

本研究の目的を達成するためには,まず従来のニューラルネットの限界を乗り越えるために,新しい原理を導入したモデルが必要である. 但し,その原理には理論的な根拠と共に,生物学的な妥当性もなくてはならない. このような観点から,我々はこれまで以下の3つの原理を導入し,その計算論的有効性と生物学的妥当性を検証してきた.

  1. 非単調出力関数
  2. 軌道アトラクタ
  3. 選択的不感化
その結果,本研究の実施に必要な原理的モデルはほぼ完成したと思われる. 本研究では,このモデルを検証すると共に,これを発展させ種々の応用を図る.

研究課題

以下の研究課題を,他の研究グループとも連携しつつ,多角的かつ機動的に進める.
  1. 原理的検討

  2. 人間の動的パターン処理のモデル化と知的情報処理システムの実現

特定領域研究 「ITの深化の基盤を招く情報学研究」
研究項目A03人間の情報処理の理解とその応用に関する研究
筑波大学 システム情報工学研究科 知能機能システム専攻 生体情報処理研究室