概要: 連続的に入力される時系列パターンを,空間パターンに展開することなく認識する神経回路モデルを提案する.このモデルでは,まず非単調ダイナミクスを用いた学習によって,認識すべき時系列パターンに対応する軌道アトラクタを回路網の状態空間中に形成する.この軌道アトラクタへの引き込みを利用して,入力されたパターンの欠損部分を復元すると同時に,それが学習した時系列パターンのどれであるかを識別する.数値実験の結果,時系列パターンの間にかなりの重複があっても正しく認識できる,時間伸縮や誤った入力に対しても柔軟に対応可能であるなど,従来の神経回路モデルにない特長を備えていることがわかった.
キーワード: 神経回路モデル,時系列パターン,非単調ダイナミクス,非単調神経回路網,軌道アトラクタ